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防災・停電・災害時の通信手段|モバイルWiFiが役立つ理由

防災・停電・災害時の通信手段|モバイルWiFiが役立つ理由

この記事の結論

停電すると、光回線のルーターやホームルーターは動作を停止します。コンセントから給電しているためです。一方、モバイルWiFiやスマホはバッテリーで動くため、残量が続く限り通信を継続できます。ただし基地局が被災したり、通信規制がかかったりすれば、どの機器でもつながらなくなります。備えとしては、バッテリー内蔵の通信機器・充電手段・安否確認の方法の3つをそろえておくことが現実的です。

災害時に困ることは数多くありますが、その中でも通信が途絶えることの影響は特に大きいものです。

家族と連絡が取れない。避難情報が入ってこない。支援の状況が分からない。情報が届かないこと自体が、不安を大きくします。

ただ、災害時の通信について正確に把握している方は多くありません。
停電したらネットは使えるのか。何時間持つのか。どの手段なら連絡が取れるのか。こうした点が曖昧なまま、なんとなく不安を抱えている状態ではないでしょうか。

この記事では、災害時の通信を電源・回線・情報の3つに分けて整理します。
先に申し上げておくと、「これさえあれば絶対つながる」という手段はありません。できるのは、つながらなくなる確率を下げることと、そのときの影響を小さくすることです。

この記事でわかること
  • 停電時にどの機器が動いてどれが止まるか
  • 災害時に通信が途絶える3つの原因と、それぞれの対処可能性
  • モバイルWiFiが役立つ理由と、その限界
  • 安否確認と情報収集の具体的な手段
  • 通信を維持するための電源確保
  • 今日からできる備えのチェックリスト

読み終わるころには、自分の備えのどこが手薄かが見えているはずです。
まずは、停電時に何が起こるのかから確認していきましょう。

目次

停電したらネットは使えなくなる?

停電すると光回線のルーターやホームルーターは停止しますが、バッテリー内蔵のモバイルWiFiは動作を継続できます。

ここを正確に理解しておくことが、備えの出発点になります。
すべての通信機器が一斉に止まるわけではありません。

何が動いて何が止まるのか、機器別に確認していきましょう。

機器別|停電時の動作

自宅にある通信機器を並べると、次のようになります。

機器 停電時 理由
光回線のONU・ルーター × 停止する コンセントから給電しているため
ホームルーター × 停止する 同上
モバイルWiFi ○ 動作を継続 バッテリーを内蔵しているため
スマホ ○ 動作を継続 同上
ノートPC ○ 動作を継続 同上
デスクトップPC × 停止する コンセントから給電しているため

整理すると、バッテリーを内蔵している機器だけが動き続けます。

ここで注意したいのが、光回線しかない家庭では、停電した瞬間に自宅のネット環境が完全に失われるという点です。
スマホのモバイル通信は使えますが、家族全員のスマホをテザリングでまかなうのは現実的ではありません。

なぜ据え置き型は止まるのか

理由はシンプルで、電源をコンセントから取っているからです。

光回線のONUやホームルーターは、常時給電される前提で設計されています。バッテリーを内蔵していないため、電気が来なくなればその瞬間に停止します。

見落としやすい点
  • 回線自体は生きていることがある/光ファイバーは断線していなくても、機器が動かない
  • 復電すれば復旧する/機器の故障ではないため、電気が戻れば使える
  • ポータブル電源があれば動く/電源さえ確保できれば稼働する
  • 建物側の設備も止まる/マンションの共用設備が停電すれば同様

1つ目は重要な点です。
回線が切れているのではなく、機器に電気が来ていないだけというケースがあります。この場合、ポータブル電源などで給電できれば通信を再開できる可能性があります。

据え置き型と持ち運び型の違いについてはモバイルWiFiとホームルーターの違いと選び方でも解説しています。

基地局はどうなるのか

手元の機器が動いても、基地局が止まれば通信はできません。
ここも押さえておく必要があります。

携帯電話の基地局には、停電に備えて非常用のバッテリーや発電設備が備えられているのが一般的です。ただし、その稼働時間は無制限ではありません。

基地局について知っておきたいこと
  • 非常用電源で一定時間は稼働する/停電後すぐに止まるわけではない
  • 稼働時間には限りがある/長期の停電では影響が出る可能性がある
  • 移動基地局が派遣されることがある/被災地に車両型の設備が配備される場合がある
  • 基地局そのものが被災することもある/地震や津波で設備が損傷した場合
  • 復旧状況は事業者が公表する/各社のサイトで確認できることが多い

つまり、停電=即座に圏外というわけではありません。
ただし長期化すれば影響が出る可能性はあります。

この点は利用者側でコントロールできない領域です。だからこそ、手元でできる備え(電源の確保や複数の連絡手段の用意)が意味を持ちます。

この章のまとめ
  • 停電時に動くのはバッテリー内蔵の機器だけ
  • 光回線しかない家庭は、停電した瞬間に自宅のネットが失われる
  • 据え置き型は故障ではなく電源がないだけ/給電できれば動く
  • 基地局は非常用電源で一定時間稼働するが、長期停電では影響も

停電時の状況が分かったところで、次は通信が途絶える原因を整理していきましょう。

災害時に通信が途絶える3つの原因

災害時に通信が途絶える原因は、停電・設備の被災・通信規制の3つです。

この3つはそれぞれ性質が違います。
自分で対処できるものと、できないものに分かれるためです。

区別しておくと、備えるべき範囲がはっきりします。

原因①停電(電源の喪失)

前の章で見たとおり、電気が止まれば据え置き型の機器は動きません。

この原因は、利用者側の備えでかなり対処できます。バッテリー内蔵の機器を持ち、充電手段を確保しておけばいいからです。

停電への対処
  • バッテリー内蔵の通信機器を持つ/モバイルWiFi、スマホ
  • モバイルバッテリーを備える/充電した状態で保管しておく
  • 車の充電機能を使う/シガーソケット用の充電器を用意
  • ポータブル電源/長期停電に備えるなら選択肢に
  • 消費を抑える設定/不要な通信を止める、画面を暗くする

3つの原因の中で、最も自分でコントロールしやすいのがこれです。
だからこそ、備えの中心はここになります。

原因②設備の被災(基地局・回線)

地震や津波、土砂災害などで通信設備そのものが損傷するケースです。

この場合、手元の機器がいくら動いても通信できません。利用者側で対処できる範囲は限られます。

設備の被災で起こること
  • その地域全体で通信できなくなる/個人の備えでは避けられない
  • 復旧に時間がかかる場合がある/被害の規模による
  • キャリアによって被害状況が異なる/1社だけ復旧が早いこともある
  • 移動基地局が配備されることがある/時間の経過とともに改善する場合も

ここで意味を持つのが3つ目です。
複数のキャリアに対応した端末なら、生きている回線に接続できる可能性があります。全社が同時に同じ被害を受けるとは限らないためです。

ただし、被害が広範囲に及べば全社が影響を受けます。過度な期待はできません。

原因③通信規制(アクセスの集中)

設備が無事でも、利用が集中すると規制がかかることがあります。

災害直後は安否確認の通信が一斉に発生します。回線を守るため、事業者の判断で通信量を制限する措置が取られる場合があります。

通信の種類 規制時の傾向
音声通話 規制の対象になりやすい。つながりにくくなる
データ通信 通話より制限が緩やかな場合がある
メッセージアプリ 通信量が少ないため、比較的つながりやすい
災害用伝言板 安否確認用に用意された仕組み

覚えておきたいのは、電話がつながらなくてもメッセージなら送れることがあるという点です。

安否確認の際は通話にこだわらず、複数の手段を試すのが現実的です。この点は後の章で詳しく扱います。

原因別|対処できるかどうか

3つの原因を、対処の可能性で整理しました。

原因 対処の可能性 できること
①停電 ◎ かなり対処できる バッテリー機器+充電手段の確保
②設備の被災 △ 限定的 複数キャリア対応で可能性を上げる
③通信規制 ○ 手段の選択で対応 通話以外の連絡手段を用意する

この表が示すのは、備えの効果は原因によって違うということです。

①には明確に効きます。③も手段を複数持つことで対応できます。②だけは、個人の備えでは限界があると理解しておきましょう。

なお、災害以外の通信障害への備えについては通信障害に備えるサブ回線の作り方で詳しく解説しています。障害発生時の初動手順も扱っています。

この章のまとめ
  • 通信が途絶える原因は停電・設備の被災・通信規制の3つ
  • 停電には備えが効く/バッテリー機器と充電手段
  • 設備の被災は対処が難しい/複数キャリア対応で可能性を上げる程度
  • 通信規制では、通話よりメッセージのほうがつながりやすい傾向

原因が整理できたところで、次はモバイルWiFiが役立つ理由と限界を見ていきましょう。

モバイルWiFiが役立つ理由と限界

モバイルWiFiは、バッテリーで動くこと・持ち出せること・複数キャリアに対応できることが災害時の強みになります。

ただし万能ではありません。
役立つ場面と、それでも使えない場面の両方を確認しておきましょう。

役立つ理由①バッテリーで動く

最も大きな利点がこれです。
停電しても、バッテリーの残量が続く限り通信を継続できます。

光回線やホームルーターは停電した瞬間に停止します。その状況で、自宅にネット環境が残っているかどうかの差は小さくありません。

停電時に通信が使えると
  • 家族と連絡が取れる/安否確認、集合場所の相談
  • 災害情報を確認できる/避難指示、被害状況、ライフラインの復旧見込み
  • 複数の端末で共有できる/スマホの容量を消費せずに済む
  • スマホのバッテリーを温存できる/テザリングより消費が分散される

4つ目は見落とされがちですが重要です。
スマホでテザリングをすると、スマホ自体のバッテリー消費が早まります。連絡手段であるスマホの電池を守るという意味でも、別の機器があると有利になります。

役立つ理由②持ち出せる

災害時には、自宅にとどまれない場合があります。

避難所や親戚の家、車中など、場所を移すこともあるでしょう。モバイルWiFiなら、そのまま持っていけます。

避難先 通信環境
避難所 WiFiが開放される場合もあるが、混雑しやすい
親戚・知人宅 その家の回線を借りることになる
車中 自前の通信手段が必要
ホテル・宿泊施設 施設のWiFiが使える場合がある

いずれの場合も、自前の通信手段があれば選択肢が広がります。
避難所のWiFiは開放されても、多くの人が同時に使うため混雑しやすい傾向があります。

役立つ理由③複数キャリア対応なら選択肢が増える

複数のキャリアに接続できるタイプなら、1社が使えなくても別の回線に接続できる可能性があります。

災害時、すべてのキャリアが同じように被害を受けるとは限りません。エリアによって、復旧の早さにも差が出ることがあります。

この仕組みについてはクラウドSIM WiFiのおすすめは?メリットで選ぶポイントで詳しく解説しています。

複数キャリア対応の意味
  • 接続先の選択肢が増える/1社の障害で完全に止まりにくい
  • 自動で切り替わる/利用者が操作する必要がない
  • 移動先でも対応しやすい/避難先のエリア状況に応じて接続できる
  • ただし万能ではない/全社が影響を受ければ使えない

限界|それでも使えないケース

ここは正直に書いておきます。
モバイルWiFiがあれば必ずつながる、ということはありません。

使えなくなるケース
  • 基地局が被災した/その地域全体で通信できない
  • 対応キャリアすべてが影響を受けた/大規模災害では起こりうる
  • バッテリーが切れた/充電手段がなければ、いずれ止まる
  • 通信規制がかかった/つながりにくい状態になる
  • クラウドSIMの提供元に障害が起きた/サーバー経由の仕組み特有のリスク

特に1つ目と2つ目は、個人の備えではどうにもなりません。

だからこそ、通信以外の手段も持っておくことが大切です。ラジオでの情報収集、家族との事前の取り決め、現金の備えなど、通信に依存しない備えを併せて用意しておきましょう。

通信に依存しない備え
  • ラジオ/電池式または手回し式。通信網が止まっても情報が入る
  • 現金/キャッシュレス決済が使えない場面に備える
  • 物理的な鍵/スマートロックが動かない場合に
  • 紙のメモ/連絡先や集合場所を書いておく
  • 家族との取り決め/連絡が取れない場合の行動を決めておく

モバイルWiFiは選択肢を1つ増やす手段であって、すべてを解決するものではありません。
この前提を持ったうえで備えを組み立てるのが、現実的な考え方です。

この章のまとめ
  • 強みはバッテリー駆動・持ち出せる・複数キャリア対応
  • スマホのバッテリーを温存できるのも実用的な利点
  • ただし基地局が被災すれば使えない/万能ではない
  • ラジオ・現金・家族との取り決めなど、通信に依存しない備えも必要

停電時にも動く通信手段として、限界突破WiFi

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役立つ範囲と限界が見えたところで、次は安否確認と情報収集の手段を確認しておきましょう。

災害時の安否確認と情報収集

安否確認には、災害用伝言ダイヤル・災害用伝言板・メッセージアプリなど複数の手段を用意しておきます。

災害時に最も知りたいのは、家族が無事かどうかでしょう。
ただ、その一心で電話をかけ続けても、つながらないことがあります。

手段を複数知っておくことが、確認の可能性を上げます。

安否確認の手段

災害時には、安否確認のための仕組みが用意されています。

手段 特徴
災害用伝言ダイヤル 音声で伝言を録音・再生できる。固定電話や公衆電話からも利用可能
災害用伝言板 携帯電話各社が提供。文字で安否情報を登録・確認できる
Web171 インターネット経由で利用できる災害用伝言板
メッセージアプリ 通信量が少なく、通話より届きやすい傾向がある
SNS 安否報告や状況共有に使われることがある

これらの仕組みは災害の発生時に提供が開始されます。
利用方法は事前に確認しておくと、いざというときに迷いません。

事前にやっておきたいこと
  • 利用方法を確認しておく/各社のサイトや自治体の防災情報で確認できる
  • 体験利用日に試す/定期的に練習できる期間が設けられている場合がある
  • 家族で使い方を共有する/全員が使えないと意味がない
  • 登録する電話番号を決めておく/自宅の固定電話番号などを基準にする

2つ目については、各事業者が体験利用の機会を設けていることがあります。
一度使ってみると、実際の手順がイメージできるようになります。

通話よりデータ通信が有効な場合

災害直後は、電話がつながりにくくなることがあります。

安否確認の通話が一斉に発生し、回線を守るために規制がかかるためです。この状況では、通話以外の手段のほうが届きやすい傾向があります。

つながりやすさの傾向
  • 音声通話/規制の対象になりやすく、つながりにくい
  • メッセージアプリ/通信量が少ないため、比較的届きやすい
  • メール/遅延することはあるが、届く場合がある
  • 災害用伝言板/安否確認専用の仕組みとして機能する

電話がつながらないと不安になりますが、それだけで諦める必要はありません。
メッセージを送っておけば、相手の回線が回復したときに届く可能性があります。

また、短い文章のほうが送信に成功しやすい傾向があります。「無事」「◯◯にいる」といった簡潔な内容で送るのが現実的です。

情報収集の手段

安否確認と並んで重要なのが、災害情報の入手です。

避難指示、被害状況、ライフラインの復旧見込みなど、行動を判断するための情報が必要になります。

手段 通信が必要か 特徴
ラジオ 不要 通信網が止まっても情報が入る。電池式か手回し式を
テレビ 不要(電源は必要) 停電すると使えない。ワンセグ対応機器なら可能な場合も
自治体の防災アプリ 必要 地域に絞った情報が届く。事前のインストールが必要
気象・災害情報サイト 必要 公的機関が発信する情報を確認できる
緊急速報メール 必要 自動で受信する。設定を確認しておく

注目してほしいのがラジオです。
通信網が止まっても情報が入るという点で、他の手段にはない価値があります。

数千円で用意でき、電池式や手回し式なら停電時も使えます。通信手段の備えと併せて持っておく価値は高いでしょう。

家族との事前の取り決め

最後に、費用のかからない備えを紹介します。

連絡が取れない状況を想定して、あらかじめ行動を決めておくという方法です。

家族で決めておきたいこと

☐ 1. 安否確認の手段と、その優先順位

☐ 2. 集合場所(自宅が使えない場合の第2候補まで)

☐ 3. 連絡が取れない場合の行動(待つのか、移動するのか)

☐ 4. 遠方の親戚など、中継役になってもらう人

☐ 5. 連絡先を紙に控えておく(スマホが使えない場合に備えて)

☐ 6. 避難場所と、そこまでの経路

4つ目は有効な方法です。
被災地内では連絡が取りにくくても、被災地外を経由すれば伝わることがあります。遠方の親戚に「無事だと伝えてほしい」と頼む形です。

5つ目も忘れがちです。連絡先はスマホに入っているだけ、という状態は危険です。バッテリーが切れれば番号も分かりません。紙に控えて財布に入れておくだけで、備えになります。

この章のまとめ
  • 安否確認には災害用伝言ダイヤル・伝言板・メッセージアプリなど複数の手段がある
  • 災害直後は通話よりメッセージのほうが届きやすい傾向
  • ラジオは通信網が止まっても情報が入る貴重な手段
  • 家族との事前の取り決めは費用がかからない有効な備え

連絡と情報の手段が整理できたところで、次は通信を維持するための電源確保を見ていきましょう。

通信を維持するための電源確保

バッテリー内蔵の機器を持っていても、充電が切れれば止まります。
停電が長引くほど、電源の確保が問題になってきます。

ここでは、現実的にどれくらい持つのか、何を用意すべきかを整理します。

モバイルバッテリーの選び方

最も手軽で効果の大きい備えです。数千円で用意でき、置いておくだけで済みます。

選ぶ際の目安は容量です。ただし表示容量がそのまま充電できるわけではありません。変換の際にロスが発生するため、実際に使えるのは6〜7割程度と考えておきましょう。

容量 スマホの充電回数の目安 特徴
5,000mAh前後 約1回 軽量。普段の持ち歩きに向く
10,000mAh前後 約1.5回 バランスが良い。防災用の基本
20,000mAh前後 約3回 重いが安心。家族分をまかなえる

※機種やバッテリーの状態によって変動します。

防災用として持つなら、10,000mAh前後が扱いやすいでしょう。
スマホとモバイルWiFiの両方を1回ずつ充電できる計算になります。

モバイルバッテリーの注意点
  • 充電した状態で保管する/空のままでは意味がない
  • 定期的に残量を確認する/長期保管で自然に放電する
  • ケーブルも一緒に保管する/端末に合ったものを
  • 複数台に対応できるか/同時充電できる製品もある
  • 置き場所を決めておく/すぐ取り出せる場所に

1つ目と2つ目は特に重要です。
「持っているけれど空だった」というのは、意外とよくある事態です。数か月に一度、残量を確認する習慣をつけておきましょう。

その他の充電手段

モバイルバッテリー以外にも、選択肢はあります。

充電手段の選択肢
  • 車のシガーソケット/車があれば有効。専用の充電器を用意しておく
  • ポータブル電源/容量が大きく、複数機器に対応。価格は高め
  • ソーラー充電器/天候に左右されるが、電源がない環境で使える
  • 手回し充電/少量だが、他に手段がないときの最終手段
  • 公共施設の充電スポット/避難所などで開放される場合がある

車がある方は、シガーソケット用の充電器を車内に常備しておくと有効です。
ガソリンが残っていれば、繰り返し充電できます。

ただし車内での充電は、換気や一酸化炭素中毒に注意が必要です。エンジンをかけたまま長時間過ごす場合は、周囲の状況を確認してください。

消費を抑える設定

充電手段が限られる状況では、消費を抑えることも重要になります。

対策 効果
画面の明るさを下げる スマホの消費電力を抑えられる
省電力モードを有効にする バックグラウンドの動作を制限できる
不要なアプリを終了する 通信と処理の両方を減らせる
使わないときは電源を切る WiFi端末は待機中も電力を消費する
電波の良い場所に置く 電波を探す動作が減り、消費が抑えられる

最下段は見落とされがちです。
電波が弱い場所では、機器が回線を探し続けるため消費が早まります。窓際など電波の入る場所に置くだけで、稼働時間が変わることがあります。

何時間持つかの目安

実際にどれくらい通信を維持できるのか、概算してみましょう。

稼働時間の目安
  • モバイルWiFi単体/連続通信で8〜12時間程度
  • +10,000mAhのバッテリー/さらに1回充電できれば、合計で1日以上
  • +20,000mAhのバッテリー/スマホと併用しても2日程度は見込める
  • 省電力運用なら/必要なときだけ電源を入れることで大幅に延ばせる

※使用状況や電波環境によって大きく変動します。

ポイントは最後の項目です。
つけっぱなしにせず、必要なときだけ使うという運用をすれば、稼働時間は何倍にも延びます。

災害時は「情報を確認する時間を決めて、それ以外は電源を切る」という使い方が現実的です。1時間ごとに数分だけ確認する、といった運用なら数日間持たせることも可能になります。

この章のまとめ
  • モバイルバッテリーは10,000mAh前後が防災用の基本
  • 充電した状態で保管し、定期的に残量を確認する
  • 車がある方はシガーソケット用充電器を常備しておく
  • 必要なときだけ電源を入れる運用で、稼働時間は大幅に延ばせる

電源の確保が分かったところで、最後に今日からできる備えをまとめておきます。

今日からできる備えチェックリスト

備えとして必要なのは、バッテリー内蔵の通信機器・充電手段・安否確認の方法の3つです。

ここまでの内容を、行動できる形にまとめます。
すべてを一度にそろえる必要はありません。できるものから始めてください。

10項目チェックリスト

災害時の通信 備えチェックリスト

☐ 1. バッテリー内蔵の通信機器がある(モバイルWiFi・スマホ)

☐ 2. モバイルバッテリーを充電した状態で保管している

☐ 3. 充電ケーブルをバッテリーと一緒に保管している

☐ 4. ラジオ(電池式・手回し式)がある

☐ 5. 安否確認の手段を家族で共有している

☐ 6. 連絡先を紙に控えている

☐ 7. 集合場所を決めている(第2候補まで)

☐ 8. 自治体の防災アプリを入れている

☐ 9. 現金を手元に置いている

☐ 10. 通信機器の置き場所を家族が知っている

チェックの数が少なくても問題ありません。1つ増えるごとに、いざというときの選択肢が増えます。

優先順位|費用×効果

すべてをそろえるのが難しい場合、費用対効果の高いものから着手しましょう。

優先度 備え 費用
最優先 家族との取り決め(安否確認・集合場所) 0円
最優先 連絡先を紙に控える 0円
優先 防災アプリのインストール・設定確認 0円
優先 モバイルバッテリーの用意・充電 数千円
次点 ラジオの用意 数千円
次点 現金の備え —
検討 バッテリー内蔵の通信機器 月額が発生する
検討 ポータブル電源 数万円

注目してほしいのは、上位3つが費用0円である点です。

家族で話し合って決めるだけ、紙にメモするだけ、アプリを入れるだけ。これらは今日中にできて、効果も小さくありません。

通信機器の契約は月額が発生するため、優先度としては後になります。普段から使う予定があるかどうかで判断するのが現実的でしょう。

普段使いも兼ねた回線構成についてはサブ回線・2台目のネット環境が欲しい人の選び方で解説しています。

避難時に持ち出すもの

避難する状況になった場合、通信に関して持ち出したいものを整理します。

通信関連の持ち出し品
  • スマホ/最優先。連絡と情報の中心になる
  • モバイルバッテリー/充電した状態のもの
  • 充電ケーブル/端末に合ったもの。忘れやすい
  • モバイルWiFi/持っていれば。避難先でも使える
  • 連絡先を控えた紙/財布に入れておくと持ち出しやすい
  • ラジオ/小型のものなら持ち出せる

3つ目のケーブルは、実際に忘れやすい項目です。
バッテリーだけ持ち出しても、ケーブルがなければ充電できません。最初から一緒にまとめて保管しておくのが確実です。

定期的に確認すること

備えは、用意して終わりではありません。
時間が経つと使えなくなっているものがあります。

定期的な確認項目
  • モバイルバッテリーの残量/数か月に一度。自然放電している
  • ラジオの電池/液漏れしていないかも確認する
  • 通信機器の動作/長期間使っていないと動かないことがある
  • 防災アプリの設定/通知が有効になっているか
  • 家族の取り決め/生活が変われば見直しが必要

特に3つ目は見落とされがちです。
備えとして置いておくだけの機器は、いざというときに動かないことがあります。月に一度、数分でいいので電源を入れて確認しておきましょう。

この章のまとめ
  • 備えはできるものから1つずつ/全部そろえる必要はない
  • 費用0円でできる備えが上位を占める/今日から始められる
  • 持ち出し品では充電ケーブルを忘れやすい
  • 用意した機器は定期的に動作を確認しておく

最後に、よく寄せられる質問をまとめておきます。

災害時の通信に関するよくある質問

最後に、判断に迷いやすいポイントについての質問をまとめました。
気になる項目をタップすると回答が開きます。

Q. 停電するとWiFiは使えなくなりますか?

機器によります。光回線のONUやルーター、ホームルーターはコンセントから給電しているため、停電すると停止します。一方、モバイルWiFiやスマホはバッテリーで動くため、残量が続く限り使えます。

なお据え置き型が止まるのは機器の故障ではなく、電気が来ていないだけです。ポータブル電源などで給電できれば動作する場合があります。回線自体は生きていることもあります。

Q. モバイルWiFiは停電時でも使えますか?

バッテリーの残量が続く限り、また基地局が稼働している限り使えます。連続通信時間は機種によりますが8〜12時間程度が目安です。

ただし基地局が被災した場合や、対応キャリアすべてが影響を受けた場合は使えません。停電に強いという特性はありますが、災害時に必ずつながる保証があるわけではないため、他の手段も併せて用意しておいてください。

Q. 災害時に必ずつながる通信手段はありますか?

ありません。停電・設備の被災・通信規制という3つの原因があり、すべてに対応できる手段は存在しないためです。特に基地局や回線設備が被災した場合、個人の備えでは対処できません。

できるのは、つながらなくなる確率を下げることと、そのときの影響を小さくすることです。バッテリー内蔵の機器を持つ、複数の連絡手段を用意する、ラジオなど通信に依存しない情報源も確保するといった組み合わせが現実的です。

Q. 安否確認はどうすればいいですか?

災害用伝言ダイヤル、携帯各社の災害用伝言板、Web171といった仕組みが用意されています。これらは災害の発生時に提供が開始されるため、使い方を事前に確認し、家族で共有しておいてください。

災害直後は音声通話が規制されやすく、メッセージアプリのほうが届きやすい傾向があります。短い文章のほうが送信に成功しやすいため、「無事」「◯◯にいる」といった簡潔な内容で送るのが現実的です。遠方の親戚を中継役にする方法も有効です。

Q. モバイルバッテリーはどれくらいの容量が必要ですか?

防災用なら10,000mAh前後が扱いやすい容量です。スマホなら約1.5回、モバイルWiFiと合わせて1回ずつ充電できる計算になります。家族分をまかなうなら20,000mAh前後が候補です。

注意点は、表示容量がそのまま使えるわけではないことです。変換のロスがあるため、実際に充電できるのは6〜7割程度と考えてください。また長期保管では自然に放電するため、数か月に一度は残量を確認しておきましょう。

Q. 通信規制がかかるとどうなりますか?

災害直後は安否確認の通信が集中するため、回線を守る目的で事業者が通信量を制限する措置を取る場合があります。特に音声通話は規制の対象になりやすく、つながりにくくなります。

一方、データ通信は通話より制限が緩やかなことがあり、通信量の少ないメッセージアプリは比較的届きやすい傾向があります。電話がつながらなくても諦めず、複数の手段を試してみてください。時間をおいて再試行すると通じることもあります。

記事のまとめ
  • 停電時に動くのはバッテリー内蔵の機器だけ
  • 通信が途絶える原因は停電・設備の被災・通信規制の3つ
  • 備えが効くのは主に停電/設備の被災は個人では対処が難しい
  • 必ずつながる手段はない/複数の選択肢を持つことが現実的
  • 費用0円でできる家族との取り決めから始める

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